『もののけ姫』たたらばの場所はどこ?子供がいない理由や歌の意味を徹底解説!

もののけ姫
引用:https://www.ghibli.jp/works/mononoke/
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宮崎駿監督の最高傑作との呼び声も高い作品といえば、1997年公開の『もののけ姫』を挙げる方も多いのではないでしょうか。

作中では人間と自然が対立する様子が何度も描かれています。

その中で、人間の工業技術の象徴として描かれているのが「たたらば」です。

「たたらば」とは今でいう製鉄所のこと。

『もののけ姫』が語りかけるメッセージよりも「たたらば」という場所に興味を持たれた方も多いのではないのでしょうか。

今回はこの「たたらば」が現存する場所や「たたらば」に子供がいない理由、そして女たちが歌っていた歌の意味について掘り下げていきたいと思います。



『もののけ姫』たたらばの場所はどこ?モデルは島根県にある?

森を抜けたアシタカがこの「たたらば」を初めて見て「まるで城だな」と言うシーンがあります。

山沿いの海に面した、とても立派な美しい建物と集落ですが、この「たたらば」のモデルはどこにあるのでしょうか。

それは、島根県雲南市吉田町にある「菅谷高殿」(すがやたかどの)であるといわれています。

高殿(たかどの)とは砂鉄から製鉄する精錬場のこと。

この「菅谷高殿」は日本に現存する最古の高殿様式であるとされています。

また「国の重要民俗文化財」にも指定されている、文化価値の高い場所でもあります。

この場所では良質の砂鉄が取れることから製鉄が始まり、大正10年(1921年)まで製鉄が行われていました。

余談ですが、島根県には世界遺産に登録された石見銀山(いわみぎんざん)もあります。

石見銀山は「自然環境と共存した産業遺産」であったことが評価されて世界遺産に登録されたました。

『もののけ姫』で直面している問題に、石見銀山は取り組んでいたとも考えられます。



『もののけ姫』のたたらばに子どもがいない理由は?

「たたらば」には子どもが一人も見当たりません。

売られた娘や重病患者が住んでいるとはいえ「たたらば」には夫婦もいるので、この集落に子どもがいないのは少し不自然な印象があります。

それは、宮崎駿監督がこの「たたらば」の集落を、緊張状態にある場所として描きたかったのではないでしょうか。

「このタタラ場を狙うものはたくさんいてね」とエボシが言うように、このたたらばは、自然界からだけではなく周りの侍達からも狙われているため、石火矢(銃)を製造し武装する「石火矢衆」(いしびやしゅう)という武装集団を常に構え、緊張感を持って生活しています。

これらの状況から、この場所はまだ子どもを守り育てる余裕のある状態ではないことが暗に表現されているように思われます。

引用:https://www.ghibli.jp/works/mononoke/

エボシは売られた女性や世間で受け入れられない重病を患った者達を働き手として受け入れてきました。

社会的弱者を見て見ぬふりをすることができない強く優しい心を持っているのでしょう。

子どもは常に周りからのサポートを必要とする弱い存在です。

その弱い存在を今の状況で増やしてしまうことに関して、エボシは許可を出さなかったのかもしれません。

子どもが一人もいないことは、女や重病患者も仕事を持ち、社会の一員として活躍してはいるものの、ここはまだ理想的な場所ではなく、どこか不自然で発展途上の場であることが感じ取れます。

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『もののけ姫』たたらばで女たちが歌うあの歌の意味を解説!

「たたらば」では、女たちが"たたら踏み"をしながら歌を歌っています。

引用:https://www.ghibli.jp/works/mononoke/

とっても印象的なシーンですよね。

この歌はどのような歌詞なのでしょうか。

もののけ姫のサウンドトラックに収録されている「タタラ踏む女達~エボシ タタラうた」の歌詞の意味を考えてみましょう。

「たたら踏みは一見、子どもでも出来そうな仕事だけれども、
続けるのは鬼でも嫌がる大仕事だ。
たたらばで働けるのは、エボシ様の情けの心のおかげで、
この情けの心は鉄と同じく、
いずれ刃に変わる強靭な武器になるんだよ。」

こういった意味であると思われます。

トキが「四日五晩踏み抜くんだ」と言うように、たたら踏みの労働は非常に厳しいものだということが理解できますね。

そのたたら踏みの厳しい労働を、自分たちで励ましながらも、この仕事を与えてくれたエボシに感謝し、労働する気持ちを鼓舞する内容であると考えられます。



『もののけ姫』たたらばについてのまとめ

『もののけ姫』に登場する「たたらば」について、いかがだったでしょうか。

自然界と人間界の対立と共生への模索が描かれた『もののけ姫』。

森を切り崩して木を伐採するなんてひどい!と、もののけ姫や森の動物達の側に立ちたくなることでしょう。

しかし、多くの弱者の社会参加を促し、活躍させる場を提供しているたたらばの正義を考えると胸が苦しくなります。

この問題は、私たちが今直面し苦しんでいる環境問題や貧困、労働問題にそのまま当てはめることができると考えられるのではないでしょうか。

決して簡単なことではありませんが、この作品を見た鑑賞者がそれぞれ「たたらば」と森が抱える問題の解決策はないものかと考えてみることは、私たちが現在直面している問題を解く糸口となるかもしれません。

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