『もののけ姫』に登場するエボシ御前ってどんな印象をお持ちですか?
かっこいい!良い人!悪い人!かわいい!などさまざまな印象に分かれるキャラクターでもありますよね。
タタラ場の頭領として手腕を発揮し、自分の目的のためには手段を選ばず、神をも畏(おそ)れない冷酷な女性。
かとおもいきや、タタラ場で働く女たちをはじめとした弱者からは絶大な信頼を得ている女性。
本当に、良い人なのか悪い人なのか?謎の多き女性でもあります。
今回は、エボシ御前の過去に触れながら、彼女の魅力に迫りたいと思います。
『もののけ姫』エボシ御前の年齢はいくつ?
エボシ御前の年齢は公式には示されていないのです。
でも、あのエボシ御前のカッコ良さを見ていると「いくつぐらいの女性なんだろう?」と疑問を持ちたくなるのもわかる気がします。
ネット上で語られているのは、20代前半から30代後半までと、ずいぶん幅があるようです。
なかには、29歳や31歳などと言い切っちゃってる書き込みも見受けられます。
冷酷非道との見方もされるエボシ御前ですが、人としての懐の深さというか、器の大きさというか、肝の座り方というか、挙げたらキリがありませんが、
あれほどの力量(人間力)が備わっているということは、それなりの経験を積んだからだと感じずにはいられません。
エボシ御前の年齢よりも彼女の"カッコいい魅力"に惹かれながら作品を楽しみたいものですね。
『もののけ姫』エボシ御前はかっこいい!
エボシ御前が頭領とするタタラ場には多くの女性が働いました。
あの女性たちは身売りに出された女性です。
身売りだなんて現代では想像もつかないことですが、売り飛ばされた身としては人生を前向きに捉えることができませんよね。
ところがタタラ場の女性たちはみんないきいきしています。
それは彼女たちの"この人のためなら頑張れる"というリーダー、エボシ御前の存在があったからなのではないでしょうか。
そのほかエボシ御前は、当時"病者"といわれ人間として扱われることが難しかった人たちも積極的にタタラ場へ迎え入れ、その立場の人たちから感謝されていました。
社会的に弱い人々に知恵や職業を与え、人としての尊厳を保証することで、それぞれが働くことを生きがいとする社会がある、それがタタラ場だったのでしょう。
人々から感謝されることを喜びと感じるエボシ御前は、まさに人間力に長けたかっこいい人と捉えることができますね。
そこで疑問なのが、エボシ御前はそんな人間力をどこで身につけたのか?ということ。
よほど自分が苦労しないと、人には優しくできないのではないかと感じます。
エボシ御前は美人?髪型が話題!
エボシ御前は美人だ!とネットで話題になっているのですが、そのほかには髪型を気にする人が多いようです。
久々にもののけ姫見たらおもしろかった。エボシ御前の髪型ってあれどうなってんのよ。
— へちょ丸 (@7ate9O) July 2, 2013
後ろに長い髪を垂らしているわけではなく、かといって後ろにゆるく束ねているようにも見えますね。
いったいあの髪型はどーなっているのか?と話題になっており、その解説をするツイートもあります。
もののけ姫のエボシ御前の髪型ですね。一度束ねて後ろに回した髪を前に持ってきて前髪にします。 pic.twitter.com/v0BXBjVsfc
— 悪太郎 (@_akusama) January 23, 2018
ちょっと、この髪型憧れる髪型ですよね。
ーじー゛
エボシ御前の身長は?モデルがいる?
エボシ御前の身長って高く見えませんか?
ネット上でもエボシ御前の身長がどのくらいなのか?と気になっている方が多いようです。
そこで調べてみましたが、身長については公式に示されていないのです。
『もののけ姫』の時代設定は、室町中期と宮崎駿監督が語っています。
そのころの女性の身長からエボシ御前のおおよその身長を割り出している方もいるようですが、あくまでそれは推測上のお話です。
もしかしたら、アシタカよりも身長が高いのでは?と考える人もいるようですよ。
いいですね!
私も、エボシ御前はアシタカより身長が高いのではと感じながら作品を見ていました。
『もののけ姫』エボシ御前の過去は?
宮崎駿監督はエボシ御前のことを『「もののけ姫」はこうして生まれた。』(浦谷年良 著)において"辛苦の過去から抜け出した女性"と語っています。
辛苦(しんく)の過去って、いったいどんな苦労をしたのでしょう。
宮崎駿監督は、エボシ御前について、倭寇(わこう 海賊)に買われその頭目の妻となり、そこから頭角をあわらし最後には夫である頭目を殺して金品や石火矢(いしびや)などの最新技術を手に入れて日本に持ち込んだ。
と語っています。
裏設定というだけあって、作品を観ているだけではわからないことですが、実際に裏設定を聞いても、観る側の想像を遥かに超える壮絶な人生を送ってきたことがわかります。
そのことが、カッコいいエボシ御前を作り上げていたと捉えることができるのではないでしょうか。
『もののけ姫』エボシ御前の最後は?腕を引きちぎられた理由
カッコいい!ってことに注目してきたエボシ御前ですが、自然を守るシシ神を殺そうとする行為については"悪"そのものであり、その点だけを見てしまうと"嫌い"と思う人も多いはず。
(エボシ)みな、よく見とどけよ
神ゴロシがいかなるものか#金ロー #もののけ姫 #エボシ #シシ神 pic.twitter.com/uFu3O9eF6b— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) October 26, 2018
シシ神様を殺そうとする理由はタタラ場維持のため、森の木々を伐採する必要があるからなんですよね。
要は私利私欲のために森を侵そうとする行為を正当化したいわけです。
神を殺すことに全く怯むことなく、シシ神の首を落とそうとするその姿は鬼気迫るものがあります。
ところで、タタラって聞き慣れない言葉ではありませんか?
タタラとは
日本で千年あまりにわたって受け継がれてきた伝統的な製鉄の技術のこと。
語源は古事記や日本書紀に出てくるので、とても長い歴史のあるものです。
原料は自然の土や川などから採取される砂鉄で、木炭の火力を使って製錬します。
たたらは漢字で「蹈鞴」とも書き、それぞれの漢字は次の意味を持ちます。
蹈 → 足踏み
鞴 → ふいご
宮崎駿監督は20歳の頃から製鉄に携わる製鉄民と呼ばれる人々に惹かれていたとのこと。
現在の島根県(出雲地方)で製鉄が盛んだったこともありタタラ場のモデルとも言われています。
さて、ここまで森に対して悪を貫くエボシ御前は、当然のことながらストーリーのエンディングでは死ぬという結末を、スタジオジブリプロデューサーの鈴木敏夫さんは望んでいたそうです。
ところが、宮崎駿監督は悩んだ末に"エボシは死なない"という結末を選んだそうです。
ストーリー上、死ぬことを免れたエボシ御前ですが、やはりシシ神を殺そうとしたことに変わりはありません。
罰として、首だけになったモロの君のこれまでの執念が、エボシ御前の右腕を引きちぎったのです。
私はエボシ御前が、片腕を失っても冷静さを保っていたように見受けられました。
そして、朽ちてゆくタタラ場をみて、これまでの自分の行為を改めようとする彼女にビックリしたのです。
ざまぁない。
わたしが山犬の背で運ばれ生きのこってしまった。
礼を言おう、誰かアシタカを迎えに行っておくれ。
みんなはじめからやり直しだ。
ここをいい村にしよう。
片腕を失った自分に対し「ざまぁない」と語れるところもカッコいいです!
そして「みんなはじめからやり直しだ」
この一言でエボシ御前の人間力の高さをみることができますね。
『もののけ姫』エボシ御前がサンの母親(親子)ではないのか?
もののけ姫であるサンの母親(生みの親)は誰なのか?がSNS上で話題になっています。
ネット上で一番多いのは"エボシ御前"です。
その理由としては、サンとエボシ御前が戦っているとき、エボシ御前は本気を出していないので、エボシ御前が母親ではないか?とかそのほかさまざまな、いわゆる"都市伝説"が出ています。
しかし、この"サンの母親がエボシ御前説"を否定する人も多くいるようです。
それはエボシ御前自身が、過去に身売りされた立場だったからという考え方です。
実際にエボシ御前は、身売りされた女性たちを買い取りタタラ場で働かせています。
また、世間から「病者」呼ばれていた人たちに対しても人道的な扱いをし、タタラ場で働く人たちからは尊敬されている女性です。
そんな"弱い立場の人間"に対し優しく心ある対応ができるエボシ御前です。
自分の産んだ子どもを生贄(いけにえ)として差し出すようなことはしない、と考えるのが普通なのではないかと考えたいですね。
『もののけ姫』の制作にあたり宮崎駿監督は次のように語っています。
「必要なことは全て描くけども、わかるようには描かない」
現代では『もののけ姫』について、いろいろな都市伝説が溢れていますが、
私は作品を観ていて"サンの生みの親は誰か?"ということは全く気になりませんでした。
それよりも、サンのこれまでの生い立ちを考えたときに、
サンがどんな気持ちで、育ての親であるモロの君と接していたのか?
これまでタタラ場の人間しか見たことがなかったのに、アシタカという人間に出会い接してどのような気持ちになっているのか?を考えていしまいました。
宮崎駿監督が語ったように"わかるようには描かれていない"という理由ではないですが、
正直、モロの君の"母親としてのサンに対する愛情の深さ"に号泣していました(笑)。
(一緒に作品を観ていた我が家の子どもからティシュペーパーを渡されながら鑑賞・・・)
では、気になる人が多いサンの生みの親が誰であるか?を私も考えてみました。
サンを産んだ女性は、ためらいもなく差し出したのでしょうか?
自分のお腹を痛めて産んだ子を、自ら進んで生贄(いけにえ)として差し出したかどうかはわかりません。
エミシの村にいるヒイ様のような巫女(みこ)のお告げにより、泣く泣く差し出したかもしれません。
その時代の巫女のお告げは絶対だったでしょう。
そんなことをいろいろ考えながら鑑賞すると、モロの君もサンも人間を憎む気持ちになるでしょうし、それ以上にサンの健気さや優しさなど、ステキな心が育っていることに感動しました。
『もののけ姫』のエボシ御前|まとめ
・エボシ御前は、過去に倭寇(海賊)の頭目に買われて妻となり、夫を殺して金品や最新技術を奪って逃げてきたという裏設定がある。
・森を犯し続けたエボシ御前は、みんなが望んでいたストーリーの最後は死ぬという結論を宮崎駿監督が「やっぱりエボシは殺せない」と、生き延びるストーリーにした。
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