『もののけ姫』の序盤で登場する少女カヤは、アシタカの許嫁(いいなずけ)です。
「あにさま」といってアシタカを慕っており、ヒイ様に従いアシタカが村を追放されて出ていくとき、こっそり夜に会いにきた少女です。
カヤについてネットでは「かわいい」という声があるなか「かわいそう」や「罰を受けた」などのツイートも見られます。
そして、カヤはアシタカとの間に子孫を授かっているとの情報もあるのです。
映画の序盤にしか登場しないカヤですが、アシタカを見送る際に渡した小刀の意味など、そこには想像もつかないカヤの熱い思いがあることがわかりました。
今回は『もののけ姫』のカヤについて考察してみたいと思います。
『もののけ姫』のカヤってどんな少女?
カヤは、エミシ村に住む少女。
エミシ一族では、敬意を表する意味で目上の人(男性)に対しては「あにさま」と呼ぶようです。
劇中でカヤが、旅立つアシタカに対して「あにさま」と呼び掛けていたので、カヤはアシタカの妹なのかな?と感じた方もいるのではないでしょうか。
私は最初、カヤはアシタカの妹だと思っていました。
カヤ役はサンと同じく石田ゆり子さん。アシタカのことを「兄様」と呼びますが、2人は兄妹ではなく、許嫁という間柄です。#もののけ姫 pic.twitter.com/d4Pvjisbt9
— キャッスル@ジブリフリーク (@castle_gtm) October 26, 2018
許嫁(いいなずけ)ですので、エミシ一族公認の仲ということだったのですね。
将来を誓った仲であるアシタカに対しては、さぞ尊敬の念を持っていたことでしょう。(と勝手に想像)
タタリ神と化したナゴの守からカヤをはじめとした少女達を守り、自らの危険をさらしてまでタタリ神に矢を放ったアシタカ。
しかし、そのことで村を追放されることとなり、カヤは何としてでもアシタカに自分の気持ちを伝えたかったのでしょうね。
アシタカとの別れは、カヤにとっては一生の別れ「もう二度と会えない」と悟っていたのでしょう。
ヒイさまの前でマゲを切ったアシタカの姿を、見送る際目にしたときのカヤの気持ちを考えたら、もう心がちぎれそうです。
そして最後、カヤがアシタカへ手渡したものが、黒曜石(こくようせき)の小刀のネックレスでした。
『もののけ姫』カヤ|アシタカからの裏切り!?
カヤがかわいそうと噂されているのは、カヤが手渡した黒曜石の小刀を、アシタカがサンへ贈ったことが要因の一つにあるようです。
この黒曜石の小刀とは、村では貞操の印として位置づけられているもので、
「私はこの先、一生あなた以外の人とは恋愛関係になりません」という意味を持つものなんですね。
アシタカの旅立ちの際に渡すというシチュエーションから"お守りを手渡した"と捉える人も多いようですが実は違いました。
カヤが「お守りをするよう息を吹き込めました。いつもいつもカヤは、あにさまを思っています。」と語るシーンは、アシタカを想うカヤの心を表現している切ないシーンです。
ところが、このカヤからもらった大事な黒曜石の小刀を、アシタカはサンにあげてしまいます。
この行為が、カヤがかわいそうと思われているようです。
またアシタカは浮気者だとも。
このストーリーについて、カヤとサン二人の声優を務めた石田ゆり子さんは宮崎駿監督に抗議をしたとか。
そして、宮崎駿監督は「男なんてそんなもの」と答えたというエピソードがあります。
このエピソードを知った時、私は宮崎駿監督らしいなぁと感じました。
また同時に、たしかに男なんてそんなもんだから、そのことを映画で表現することの意味のほうを深く考えてしまいました。
子ども達に向けた作品に、なぜここまで描かなければならなかったのか?
『もののけ姫』に限らず、宮崎駿監督が描く物語には
"生きていくためには現実はそう甘くない"とのメッセージを受け取ることができると感じている私です。
人生を歩む上で大切なメッセージをアニメーションで表現することで、子ども達にも受け入れられやすく、また大人が観ても、その時点でどんな人生を歩んでいるかに左右されながら作品を鑑賞できる。
長く愛される作品って、単にメッセージ性とひとことでは語れない深いテーマがあることに気付かされます。
『もののけ姫』カヤ|アシタカの子孫を授かっている!?
黒曜石の小刀について、もう少し深く考えてみましょう。
これは貞操の印です。
ということはすでに、アシタカとカヤの関係は深いものになっていたと考えることができるのではないでしょうか。
村を守るべくタタリ神と戦ったアシタカは、理不尽にもこのことが原因で村を追放されてしまいます。
カヤが、もう一生会えないかもしれない自分の全てを捧げた人に「私のかわりにお伴させてください」と語って手渡した黒曜石の小刀は、とても意味深いものとなっているでしょう。
そして映画では表現されていませんが、この時点ですでにカヤにはアシタカの子孫を身ごもっているとされる解釈が多くあります。
私はこの解釈を嬉しく感じました。
"カヤはアシタカの子孫を育てる"という何にも変えがたい素晴らしい未来が待っているんだ!と感じたからです。
愛する人の子どもを授かるということが、女性にとってはどれだけ嬉しいことか。
そして、カヤはアシタカに対する畏敬の念を抱きながら子育てをしていくことでしょうね。
『もののけ姫』カヤがかわいそう|罰を受けている!?
カヤがかわいそうと言われていることの要因のもう一つは、村から罰を受けているのではないかということです。
それは、アシタカが旅立つ夜、村で禁止されている見送りをしたことで罰を受けたとされるものです。
アシタカがカヤを見たとき「見送りは禁じられているのに」と語ったのに対し、
カヤは「お仕置きは受けます」とキッパリ語っています。
この二人のやり取りで、呪いを受けたもの(アシタカ)を見送ることが、どれほどやってはいけないことかがわかりますね。
ヒイさまや村の男衆が、アシタカを西へ向かうよう話し合っている最中も、きっとカヤはこの小刀を握り締め会いたい気持ちを抑えながら待っていたのでしょうね。
なんとも切なすぎます。
どのような罰を受けたのか、また受けていないのかは想像の範囲ですが、そこまでの覚悟で人を愛せる、愛せる人に出会えたことが、カヤにとっては何よりの幸せではないかな、と私は感じています。
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『もののけ姫』カヤがかわいそう、子孫を授かっている?|まとめ
物語の序盤にしか登場しないカヤですが、主人公アシタカの心の中にはずっと生き続けていくであろう少女という気がしています。
作品を鑑賞した人々からは「これを私だと思って!」との想いで渡した黒曜石の小刀を、アシタカがサンに贈ってしまうことで"かわいそう"と思われているキャラクターということもわかりました。
でもどうでしょう、
カヤはすでにアシタカとの間に子孫を授かっているとの解釈があるようです。
とっても素晴らしい未来が待っている少女なんですね。
カヤはエミシの村で過ごしたアシタカとの時間を大事に思いながらこの先の人生を歩むでしょう!
いつまでも凛とした女性で、アシタカの子孫の母親として村を守っていくのでしょうね。
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