『天空の城ラピュタ』でパズーとシータが出会うロボット兵、花を渡す姿はとても印象的なシーンの一つです。
さて、このロボット兵には名前はあるのでしょうか?花や動物鳥たちに優しい感情をもつロボットなら、ぜひ名前で呼んであげたい!と思ってしまいます。
また、シータに花を手渡すロボット兵は、どうみても飛べるロボットに見えないのですが、飛んでいるロボット兵もいましたよね。これは同じロボット兵なのでしょうか?
今回は『天空の城ラピュタ』に登場する心優しいロボット兵について調査したいと思います。
では、いっしょに見ていきましょう!
ラピュタのロボット兵の名前はない!
実は、『天空の城ラピュタ』に登場するロボット兵に名前はないのです。
劇中で"ロボットの兵隊"や"ロボット"と呼ばれているのは、そんな理由からだったんですね。
実は、いろいろな種類のロボット兵がいて、それぞれ与えられた任務があるようですよ。
ひとつずつ見ていきましょう!
ラピュタのロボット兵|戦闘用のロボット兵
赤茶色で、頭部にある目玉(のように見えるところ)からビームを発し、要塞を破壊することができるほどの高い能力を持っています。
シータを危険から守ることが任務のロボット兵です。
長い両腕の部分から出ている突起物から、翼のようにものが出てきて飛ぶこともできます。
なので、畑に堕ちたロボットは、戦闘用のロボット兵だったということですね。
二足、四足どちらでも歩行可能。要塞を登っていくシーンでは上手く使い分けています。
戦闘用のロボット兵は上空から落下してきたときに死んだと思われていましたが、それはあくまで機能停止状態だっただけでした。
シータが幼い頃、おばあちゃんに教えてもらった、ラピュタ語である守りの言葉「リーテ・ラトバリア・ウルスアリアロス・バル・ネトリーヌ」(我を助けよ、光よ蘇れ)を唱えたことで、ロボット兵はシータを守るという任務を遂行します。
ちなみにこの呪文は、意味があるわけではなく、あえて英語や日本語の影響を受けないように、との宮崎駿監督の考えから"ケルト語"というヨーロッパのごく一部地区に残っている少数言語を参考にしているのだとか。
そのような言語があるんですね。いつも感じますが、宮崎駿監督の知識って深いですよね。
ご自身の知識を醸成させ、更に魅力を加えて表現しています。浅学である私は、ジブリ作品を鑑賞しながら世界史の勉強もできるので嬉しい限りです(笑)。
ラピュタ王族であるシータを守るためにとったロボット兵の行動は、観る側のこちらがドキドキさせられますが、なぜか"このロボットに任せればシータは大丈夫"という安心した気持ちで、作品を観ることができるほど、任務に忠実なロボットです。
とにかく強いですよね!戦闘用ロボット兵って。
そんな強さの中にシータを守る優しさが垣間見れ、要塞の突端にシータを静かに置く姿は、まさしく"自己犠牲"のシーン。
涙が止まりませんでした。
ムスカの大砲に朽ちていく戦闘用のロボット兵をみた我が家の子どもの表情は、とってもしんみりしていました。何かココロに響くものがあったのだと思います(希望)。
ラピュタのロボット兵|園丁用ロボット兵
私は、もう彼(?)を見ただけで涙が出てきちゃうのですが(笑)
シータとパズーに対して、無言ながらもたくさんの優しさを与えてくれたロボット兵は、園丁(えんてい)用のロボット兵です。
ラピュタ城に生息する動物や鳥そして草花などの管理を任務とするロボット兵というところでしょうか。
二人との交流のあと、次の瞬間、動かなくなる園丁用のロボット兵。
シータならずも、ハッとするシーンですよね。
彼ならきっと、ラピュタ城内の動植物や草花に対する心遣いで"自分はじっとしていよう"って考えたんだろうなぁと思わせる、ホント感動するロボット兵です。(ううっ、また涙が・・・)
園丁用のロボット兵と戦闘用のロボット兵の違いは、翼がないことです。
私が、なんだか種類の違うロボット兵がいる?と思っていたのは、この翼の有無だったのですね。
翼がないので飛ぶことはできませんが、ラピュタが最後に崩壊してゆくシーンでは、戦闘用ロボット兵が機能停止したのに対し、園丁用のロボット兵は、その機能を停止することなく動いているようです。
ポロロンポロロンと歩く、園丁用のロボット兵は、ずっと自然を愛し続けるのでしょうね。
ラピュタのロボット兵に名前はない|巨神兵じゃないの?
よく『天空の城ラピュタ』のロボット兵と『風の谷のナウシカ』に登場する巨神兵は同じと思っている方も多いのではないでしょうか?
実は私も、その一人でした(笑)。
ちなみに、ナウシカの巨神兵を巨人兵と言い間違いされることも多いようです。
身長:3.44m 体重:238kg
身長:30〜50m
そんな理由から、ロボット兵のことをなんとなく、ジブリ作品で聞き覚えのある"巨神兵"と勘違いする人が多いのかもしれませんね。
ラピュタのロボット兵に名前はない|デビューは「ルパン三世」だった!?
『天空の城ラピュタ』に登場するロボット兵は、なんと宮崎駿監督が(照樹務 てれこむ ← という名前で制作)演出をしたテレビアニメシリーズ「ルパン三世」の「さらば愛しきルパンよ」に登場していたのです!
その名も「ラムダ」と「シグマ」
『天空の城ラピュタ』では、ラムダが登場したことになるんですね。
なんでも、宮崎駿監督が「ルパン三世」制作の際、このロボットを生かしきれなかったので『天空の城ラピュタ』で再度登場させたと語っています。
ほんと、ネット上でも『天空の城ラピュタ』といえば、あのロボット兵を挙げる声が多いようです。
ロボット兵には園丁タイプと戦闘タイプがあります。後者は腕に突起があり、皮膜を出して羽にします。身長は3m44cm、体重238kg。宮崎駿監督が演出した「ルパン三世」の『さらば愛しきルパンよ』にはラムダ(画像3)とシグマ(画像4)というロボットが登場していました。#天空の城ラピュタ pic.twitter.com/jhM0jzquRd
— キャッスル@ジブリフリーク (@castle_gtm) August 30, 2019
『天空の城ラピュタ』は、宮崎駿監督にとって、それまで制作に携わってきたものの集大成と言えるのかもしれません。
宮崎駿監督が、これまで影響を受けた作家(「ゲド戦記」のアーシュラ・K・ル=グウィンなど)の作品からインスピレーションを受けて『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』など、たくさんのストーリーに投影されています。
ラピュタのロボット兵に名前はない|モデルはアメリカのアニメから影響を受けた
ジブリファンの間では、有名な話ですが、ロボット兵の"モデル"といってもいいほど影響を受けているのが、アメリカのフライシャー・スタジオが制作したテレビアニメ「スーパーマン」に登場するロボットなのです。
フライシャーが製作した「スーパーマン」のアニメ、「The Mechanical Monsters」(1941)に登場するロボットの飛び方をよく見ると「天空の城ラピュタ」のロボット兵と殆ど同じで、宮崎駿がフライシャーのアニメから影響を受けているというのは有名な話だとか pic.twitter.com/wBi918VG5k
— ソビヱツク (@nobunavy) January 9, 2017
勝手に私は、人助けをするロボットのようなイメージを持ってしまいますが、実は強盗を働くロボットなのです。
1941年にアメリカで放送されたアニメ「スーパーマン」ですが、今見てもとても楽しめるアニメーションですよ。ヒーローはヒーローらしく、悪役は悪者感たっぷりなキャラクター設定が興味深いです。
日本で吹き替え版が放送されたのは1955年のようなので、当時中学生だった宮崎駿監督(1941年生まれ)は、どんな気持ちで「スーパーマン」を観ていたのでしょうね。いろいろ妄想しちゃいます(笑)
そして、その30年後、記憶の中にあるロボットを呼び起こすかのように『ルパン三世』や『天空の城ラピュタ』などの作品に投影させていること、これはもう天才ですね。(記憶力がものすごい!!)
ちなみに、ロボット兵の名前をラムダじゃないの?思っている方もいるようで、こんなつぶやきも・・・
ラピュタのロボット兵に名前はない|まとめ
・ロボット兵はTVアニメ「ルパン三世 さらば愛しきルパンよ」に登場していたラムダ。
・ラムダのモデルとなったキャラクターは、アメリカのTVアニメ「スーパーマン」に登場していた
人型ロボットの影響を受けて作り出されたもの。
・巨神兵はロボット兵と同じではない。大きさや作られた目的も全く違うもの。
今回調査してみて、宮崎駿監督のロボットに対する造詣がとても深いことに気づきがありました。
そして、私たち凡人からはとても想像がつかないほどの視点を持ち、表現されていることが、天才と言われる所以なのだとも感じました。
あらためて、宮崎駿監督と同じ時代を生きることができていることに喜びを感じています。
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