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紅の豚|エンディングが豚だらけの理由は?歌詞の意味やエピソードについても!

紅の豚
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『紅の豚』のエンディングで豚だらけの集団が登場する22枚のイラストを覚えていますか?

劇中で豚になっているのはポルコ・ロッソだけなのに、なぜエンディングのイラストは豚だらけなのか?

その理由は、時代背景やエンディング曲「時には昔の話を」にヒントがありました。

今回は『紅の豚』エンディングに流れる22枚のイラストに込められたエピソードをご紹介しながら考察していきたいと思います。



『紅の豚』エンディング|なぜ豚だらけ?イラストの意味は?

劇中で豚の姿をしているのは、主人公のポルコ・ロッソだけです。

それなのに、エンドロールでスタッフクレジットが流れる画面の左側に、静止画(イラスト)が映し出され始めると、そこに登場するのは"豚だらけ"。

あのイラスト、作品の余韻に浸りながら、なぜか見入ってしまうんですよね。

心が引き込まれる世界観を持つ豚だらけのイラストには、宮崎駿監督のどんな想いが込められているのでしょうか?



『紅の豚』エンディング|豚だらけの理由は「戦争に対する憤り」

『紅の豚』の時代設定は1930年、第一次世界大戦後の世界恐慌の嵐が吹き荒れるイタリアを舞台にしています。

あのエンディングで映し出される豚の顔をした男たちは、戦争が始まる以前は、ただ純粋に空を飛ぶこと、飛行艇を愛した男たちだったのだと思います。

それが、戦争というものに自分たちが愛してやまない飛行艇を利用されてしまった。

そして、家畜(豚)のように飛行艇乗りは殺されてゆく。

兵器として使われた飛行艇と飛行艇乗りたちへの想い、国家に対する恨み、そして愚かな人間に対する憎悪などが豚になることで表現されているのではないかと思うのです。

劇中でも、ポルコの友人・フェラーリンとの会話で人間に嫌気が差しているポルコの様子が伺えます。

--フェラーリン「なぁマルコ、空軍に戻れよ」

--ポルコ「ファシストになるより豚の方がマシさ・・・」

このセリフから"人間ではなく豚でいること"が、ポルコにとってベストであるように感じることができるのではないでしょうか。

また『紅の豚』制作中の宮崎駿監督にとって、衝撃的な世界情勢の変動がありました。

それは湾岸戦争が勃発したことです。

『紅の豚』とも関わりの深いユーゴスラビアでは民族紛争が多発し、これら歴史的な出来事が宮崎駿監督の映画制作に影響を及ぼしたことは、揺るぎない事実であると感じています。

エンディングの豚だらけのイラストは、空を飛ぶことだけを楽しんでいた"あのとき"を思い出している、そんな感情を抱かせてくれるものなのだと感じます。



『紅の豚』エンディング曲「時には昔の話を」の歌詞とシンクロ!

ではなぜ、宮崎駿監督が『紅の豚』のために、豚だらけのイラストを描き下ろしたのでしょうか?

実は、エンディング曲である「時には昔の話を」から宮崎駿監督がヒントを得て、飛行機の黎明期と時代背景を描き出したという経緯がありました。

「時には昔の話を」はジーナのキャスト声優を務めた加藤登紀子さんが、1986年9月にリリースしたアルバム「MY STORY/時には昔の話を」に収められている曲です。
(翌年リリースされたシングル曲「百万本のバラ」のB面にも収録されています)

そうです、MY STORY(私の物語)というアルバムタイトルでおわかりのように「時には昔の話を」は加藤登紀子さんの物語でもあるのです。

私が抱く加藤登紀子さんのイメージはかっこいい人。

かっこいい女性ではなく、性別を超えたかっこよさを備えた方なのです。

そんなかっこいい人と同世代である宮崎駿監督(1941年生まれ)が、加藤登紀子さん(1943年生まれ)作詞・作曲の「時には昔の話を」に何も感じない訳がないと思うのは私だけでしょうか?

「時には昔の話を」は、むかし男友達とともに、貧しいながらもたくましく生きていたときを思い出しながら歌っていますが、むかしを懐かしむだけの歌ではなく3番では「見果てぬ夢」を追い続ける歌詞になっていることに注目してみてください。

 

宮崎駿監督が飛行機好きなことは有名ですが、その大好きな飛行機が戦争に利用されてしまうのです。

そして大切な友人の死。

そんな時代を経て"空を飛ぶことだけ"に夢中だった"あの頃"を思い出しながら描く。

イラストに登場する連中を、全員豚に描く宮崎駿監督の想いはポルコ・ロッソにも投影されています。

あのポルコは宮崎駿監督自身を描いているとの考察もネットでは見受けられます。

ぜひ『紅の豚』を観るときに、エンディングのイラストにはそんなバックグラウンドがあると感じながら観てみるのはいかがですか?

 

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劇中では、ジーナが「どうやったらあなたにかけられた魔法が解けるのかしらね。」とポルコに話しているシーンがありますが、なぜ豚になったのか?については語られていません。

正直私は、なぜポルコは豚になったのか?最後ポルコは人間に戻ったのか?という、この映画には"定番"の疑問は、全く湧くことなく観ていた人間です。

宮崎駿監督も語っていますが、結末をはっきりさせる必要があるのか?ということも感じています。

結末をはっきりさせないからこそ、いつまでも心に留まる作品であり、それがジブリなのではないのかと。

そのような映画が名作映画であり後世に残るではないかと私は感じています。

宮崎駿監督は『紅の豚』ロマンアルバムのインタビューで、定番の疑問について次のように語っています。

豚が人間になりました、よかったよかったとやってしまったら嘘になる。
そういうカタルシスを求めるのは間違っているんです。

世界中にもっともっと、ジブリファンが増えることを願ってやみません。

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