映画『天空の城ラピュタ』の冒頭はシータがドーラ一家に追われ、飛行船から落ちたシータをパズーが助けるという緊迫したシーンが印象的ですよね。
そして、夜があけてパズーが朝トランペットを吹くシーンは、シータが助かったと気づき、パズーの日常に触れる大切なシーンです。
このシーンでパズーがトランペットで演奏していた曲を覚えていますか?
とっても印象的で、一度聞いただけでメロディーを鼻歌で歌いたくなるような曲です。
今回は、パズーが吹くトランペットの曲名やなぜ朝トランペットを吹くのか?そして劇中でトランペットを演奏していたのは誰か?などについてお伝えします。
ラピュタ|トランペットの曲名、作曲者は?
パズーが演奏する曲名は「ハトと少年」。作曲者は、久石譲(ひさいし じょう)さんです。
『風の谷のナウシカ』からずっと音楽を担当されている、スタジオジブリ作品ではなくてはならない方。
久石譲さんがスタジオジブリ作品の音楽に携わるときには、宮崎駿監督からその作品のイメージを共有するため、監督から久石譲さんあてへ手紙(メモ)が渡されるのだそうです。
久石さんにメモが渡る時点で絵コンテがあるかどうか?わかりませんが、本当にイメージにぴったりの曲ばかりですよね。
私は、スタジオジブリ作品の音楽が大好きで、よくサウンドトラックを聴くのですが、いつも気になるのが曲の題名です。
それぞれ、映画のシーンを思い起させるものばかりなんですよ。題名を見ただけでそのシーンが目に浮かんでくるのです。
久石さんの感性と宮崎駿監督の感性が、みごとにマッチしているなぁ、といつも感心しています。
パズーはトランペットが上手い|ファンファーレだけではない「ハトと少年」
劇中でパズーが吹いている「ハトと少年」ですが、実はこの曲、2分半ぐらいの曲なのです。ファンファーレ部分(劇中で聞ける部分)は1分弱ですが、楽曲を全部聞くと、途中で井上あずみさんが歌う『天空の城ラピュタ』のエンディングで流れる「君をのせて」のメロディーが入ってきます。
ファンファーレ部分と「君をのせて」がうまくミックスされていて、とても素敵な楽曲なんです。機会がありましたら、ぜひ最初から最後まで聴いてほしいですね!
ちなみに私、いつも家事をしながらのBGMは久石譲さんです。
パズーはトランペットが上手い|実は超絶上手いトランペッターだった!
トランペットを吹いたことのない私は、何も知らなかったのでびっくりしたのですが、管楽器は高音を出すことがとても難しいのだそう。
パズーが吹く「ハトと少年」は、曲の中盤から高音になってきますよね〜。これってウォーミングアップもせず、とても朝イチでは吹けないような曲なんだとか。
金管楽器を演奏する方々の間では、パズーについて"朝起きてすぐにあの曲を吹けるならトランペット奏者になった方がいいんじゃ?"というような声が上がるほど、難易度が高い曲なのだそうです。
メカに強くて、勇敢で優しいパズーですが、まさかトランペット奏者になれるほどの腕前だったとは!
物語に描かれているパズーの普段の生活ぶりは、幼いながらも周りの大人から信頼を得ていることがわかりますし、そんなパズーの姿を見ていると、なんでもしっかりと仕事をこなす少年なんだと感じ取ることができます。
宮崎駿監督が描くキャラクターは、"人間力のある子"ばかりです。それは監督がイメージする子どもの姿なんでしょうね。とつい深読みしていまいます。
ラピュタ|パズーがトランペットを朝に吹く理由は?
この曲を聞いて、どんなイメージを持ちましたか?私は"朝が来た"というイメージでした。
この「ハトと少年」、英語の曲名は「Pazu’s Fanfare」"パズーのファンファーレ"です。
ファンファーレとは、華やかな曲との意味があるので、朝を迎えるにはバッチリ。
では、炭鉱の仕事が本業のパズーが、なぜ朝トランペットを吹いているのでしょう?
考察してみたいと思います。
パズーがトランペットを吹く理由|炭鉱の街に朝を告げる仕事
先ほども触れましたが、パズーは炭鉱で働きながら、まわりの大人たちとの信頼関係も厚く、みんながパズーの仕事ぶりを認めているような描写があります。
そんな、きっちりと仕事をこなすパズーを見込んで、炭鉱で働く人々の目覚まし時計としての仕事を任されていたのではないでしょうか?
パズーのトランペットを聞いて朝を迎えることが、炭鉱で働く人々の活力にもなっていたと考えたらステキですよね!
そして「ハトと少年」には"スラッグ渓谷の朝"というタイトルもついています。
渓谷に響き渡るパズーのトランペットの音色が毎朝聞くことで、炭鉱夫の人たちもパズーのことを見守ってくれているのでしょうね。
また、パズーの親方は、気難しそうで怖い!と思わせる描写が多いですが、実は怖くてしっかり叱ってくれる人ほど"相手の将来を考えている人"なんだと感じています。
身寄りのないパズーのことを思えば、しっかりと仕事を教えて自立できるように、と考える大人が周りにいることで、パズーも成長していくのだと・・・
宮崎駿監督が考える、子どもの在り方って、パズーのような少年なのかな?との思いになってしまいますが、宮崎駿監督が少年時代を過ごした頃は、このような"逞(たくま)しく生きる"子どもばかりだったのでしょうね。
ハトと触れ合っているパズーを見ていると、なんだかそんな思いにふけってしまいます。
トランペットがの曲|あのメロディーを演奏している人は誰?
トラペットの演奏が超絶上手い!パズーのシーンで「ハトと少年」を演奏している人は、
数原 晋(かずはら しん)さん、1946年岡山県生まれの日本を代表するトランペット奏者です。
久石譲さんの作品では『天空の城ラピュタ』以外に『となりのトトロ』や『魔女の宅急便』『紅の豚』などで演奏をされていますが、クレジットはされていないようです。
また、他には「必殺仕事人のテーマ」や「ルパン三世」もテレビや映画のシリーズの演奏をされています。
宮崎駿監督が1941年生まれなので、世代的には監督と一緒ぐらいですね。
そして現在は、体調を崩されて一線を退いているとのこと。
数原さんは、管楽器をやっていらっしゃる方の間では有名な方なのだと思います。
数原さんの演奏を聞いて、管楽器奏者を志す人もたくさんいることでしょう。
あらためて"音楽のちから"というものに触れた気がします。
【追記】
数原晋さんが2021年にご逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
金曜ロードショーの初代オープニング曲「フライデー・ナイト・ファンタジー」でトランペットを演奏していた名プレーヤー・数原晋さんが、お亡くなりになりました。74歳でした。
『ルパン三世』シリーズや『天空の城ラピュタ』の「ハトと少年」の演奏を担当しました。謹んでご冥福をお祈り致します 。 pic.twitter.com/oTHElNPzmD— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) May 11, 2021
ラピュタ|パズーが吹くトランペットの曲 まとめ
・作曲者は、久石 譲さん
・炭鉱の街 スラッグ渓谷の炭坑夫に朝を告げるため夜明けとともに演奏していたと思われる
・劇中で「ハトと少年」を演奏していたのは、トランペット奏者 数原 晋さん
映画と併せて読んでみると、さらに作品の魅力に出会えるので、おすすめです!
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