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『耳をすませば』の監督は近藤喜文!宮崎駿監督が抜擢した天才的アニメーター!

耳をすませば
引用:https://www.ghibli.jp/works/mimi
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実写化も実現した、大人気ジブリ作品『耳をすませば』。

ジブリ作品といえば、宮崎駿監督や高畑勲監督を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

実は『耳をすませば』の監督は近藤喜文(こんどう よしふみ)監督です。

近藤喜文監督は、高畑勲監督、宮崎駿監督の巨匠2人が取り合うほど天才的なアニメーターなんです。

『耳をすませば』の監督が、宮崎駿監督ではない理由とはなんなのか気になりますよね。

今回は、近藤喜文監督についてググッと迫ってみます!



『耳をすませば』の監督 近藤喜文監督とはどんな人?

近藤喜文監督は、かなり高い技術を持ったアニメーターとしてたくさんの作品で活躍していました。

近藤喜文監督がアニメーターになる前には、宮崎駿監督や高畑勲監督の師匠的存在の大塚康生さんが講師をしていたアニメーションの専門学校に通っていたんです。

当時の近藤喜文監督は、大塚康生さんの授業が終わるたびに大塚康生さんが勤めていたAプロダクションに入社させてほしいと何度も懇願していました。

その熱意に折れた大塚康生さんは、どんな絵を描くのかもどれくらいの技術があるのかもわからないまま入社を許してしまったんです。

でも、やっぱり昔からそのセンスが光っていたようで、宮崎駿監督の「未来少年コナン」でアニメーションを高く評価されました。

そこからの近藤喜文監督は、スタジオジブリに移籍し宮崎駿監督や高畑勲監督から絶大な信頼を置かれていたんです。

きっとこの人が次世代のスタジオジブリを担っていくんだろうと誰もが思っていたことでしょう。

でも生まれつき体が弱いこともあり「耳をすませば」の公開後、47歳という若さで亡くなられました。

昔から、作品を作り終わるたびに入退院を繰り返していたそう。

命がけで作品作りに挑むって、作品に対する熱い想いや自分の仕事がどれほど大好きなのかがこちらにも伝わってきますよね。

近藤喜文監督は口数が少なく、寡黙なアニメーターでした。

記者の取材やインタビューが大嫌いで、近藤喜文監督の代わりに宮崎駿監督がインタビューに応えたことがあるほどです。

自分から情報を発信することは苦手なんですが、宮崎駿監督の絵コンテやイメージボードから意図を汲み取って言葉にすることは得意としていました。

相手のイメージしていることを言葉に翻訳できる人って、この業界では本当に重宝しますよね。

そんな優秀な人材を失ってしまった今、スタジオジブリは後継者問題に頭を抱えているのかもしれません。



近藤喜文監督を巨匠2人が取り合い?

宮崎駿監督と高畑勲監督から絶対的な信用を得ていた近藤喜文監督を、2人が取り合っていたという話はファンの間で有名な話なんです。

巨匠2人が近藤喜文監督を取り合った作品が「となりのトトロ」と「火垂るの墓」。

この2作品は同時劇場公開作品で「となりのトトロ」は宮崎駿監督、「火垂るの墓」は高畑勲監督が担当していました。

どちらもが1歩も引かない近藤喜文監督の取り合いになり、それは製作中止になりそうなほど。

アニメーションは時間やお金、スタッフがたくさん必要なので、2作品同時に作るとなると無茶なんです。

結果的に、仲裁に鈴木敏夫さんが入り近藤喜文監督は「火垂るの墓」のアニメーターをすることになりました。

それは、宮崎駿監督は自分でアニメーションを作れるから。

でも、毎日、近藤喜文監督本人に直接説得に来ていた宮崎駿監督は、納得いかない様子だったようです。

宮崎駿監督は、自分よりもリアルを追求したアニメーションを作れるのは近藤喜文監督しかいないと考えていたみたいなので、近ちゃんが取られた…となってしまったのかもしれません。



 

今改めて考えてみると巨匠2人に「近ちゃん(近藤喜文)がいないなら降板する、作品を作らない」と言わしめる近藤喜文監督ってすごすぎませんか?

たしかに、それほどの逸材と一緒に作品を作れないってなると、いい作品にならない、やる気がなくなるというのも理解できますね。

自分がその立場だと、ショックでしばらく作品に身が入らないような気がしちゃいます。みなさんはどう感じますか?



『耳をすませば』の監督に抜擢した理由は?

近藤喜文監督が携わってきた作品「赤毛のアン」「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」では、近藤喜文監督の才能を活かしきれていないと宮崎駿監督は感じていました。

近藤喜文監督の才能に惚れ込んでいる宮崎駿監督は、近藤喜文監督と一緒に仕事がしたい、なにかを作らせたいとずっと思っていたそうです。

そこでやっと巡ってきたのが「耳をすませば」。

近藤喜文監督は大作よりも小作のほうが向いていると思い、宮崎駿監督は近藤喜文監督のために「耳をすませば」を小作として製作をスタートさせました。

小作でスタートさせたはずなんですが、当時大ヒット!

興行収入がその年公開された邦画作品で1位でした。

初監督の作品でサクッと大ヒットさせるって、驚異的なセンスの持ち主だと思いませんか?

『耳をすませば』って、ジブリの中でも異質と言われていますよね。

あの、ジブリと言えば宮崎駿!を感じさせる宮崎駿監督のパンチがあまり感じられないのはジブリ作品の中で唯一無二だと思うんです。

それができたのは、近藤喜文監督だったからでしょう。

近藤喜文監督が、児童文学が好きということもあり、それが「耳をすませば」と近藤喜文監督がぴったりと型にハマり、近藤喜文監督の本領を発揮した作品だと感じます。

いわばこの組み合わせは当たりだと言えるでしょう。

近藤喜文監督の幅広い才能はもちろんなんですが、近藤喜文監督を監督に抜擢した宮崎駿監督の目が確かなのもさすがとしか言いようがないですよね。



唯一無二のアニメーター近藤喜文のスゴさとは?

近藤喜文監督の魅力は、登場人物の表情の動き、しぐさ、動作が繊細でリアル、とにかく人の気持ちを丁寧に汲み取ったアニメーションだと私は考えます。

たとえば、雫が地球屋の前で座り込むシーン。

雫が、スカートを抑えてパンツが見えないように座っているのです。

そのシーンは、宮崎駿監督には「誰もいない場所で隠すのはおかしい!」と言われたみたいなんですけれど・・

私は思春期の女の子の気持ちや動作がちゃんとわかっているなと感動しちゃいました。

ああいうシーンって、人物をアップにして下半身を映さないか、足なんかで隠すのをよく見ませんか?

宮崎駿監督の絵コンテでは、隠すことなくパンツが描かれていたんです。

パンツが見えるのは男のロマンかもしれませんが、女性の気持ちをきちんと汲み取ってくれていることが勝手にとっても嬉しくなりました。

そして、そんな高い技術があって、且つ宮崎駿監督にも一切の妥協も許さない気の強い一面もある近藤喜文監督。

『耳をすませば』の雫のキャラクター像が、宮崎駿監督と近藤喜文監督の中でギャップが起こってしまっていました。

宮崎駿監督の絵コンテでの雫は活発な少女近藤喜文監督が描く雫は少し内気気味な少女だったんです。

それに気が付いた近藤喜文監督は宮崎駿監督に「それは違う!雫のことをなんにもわかっていない!」と反論し、2人が険悪になっていたという話があります。

そんな険悪な中、上司に歯向かってくる人を信用するのは、アニメーターとしてのセンスが上回っているからなんでしょう。

近藤喜文監督は、鈴木敏夫さんにも「日本が生んだ最大のアニメーター」と言われるくらいです。

そんな近藤喜文監督のアニメーションの動きに注目しながら作品を観てみるのも、また違った見え方になってより一層おもしろく思えるかもしれませんね。



近藤喜文監督が伝えたかったこと

近藤喜文監督は、アニメーションはたくさんの人の心を動かせられるということを伝えたかったんだろうと私は思うんです。

近藤喜文監督は、小さいころから絵を描くことや工作など、作品を作ることが大好きでした。

そのときからすでに、何かや誰かの作品に心動かされて自分も絵を描きたい!と思ったのでしょうか。

何かに感化されて「私もやってみたい!」という気持ちになるのは、誰しもにありますよね。

その初心を忘れずに、自分の作るアニメーションにすべてをぶつけ続けていたのかもしれません。

この世には、近藤喜文監督近以外にも絵がうまいアニメーターの人たちはごまんといます。

でも、絵がうまいだけではない近藤喜文監督のアニメーションへの想いはたくさんの人たちの心を動かしたに違いないでしょう。

大ヒット作となった「君の名は」の公式ビジュアルガイドの安藤雅司さんと「この世界の片隅に」の公式ガイドブックの松原秀典さんのインタビューで、2人から近藤喜文監督の名前があがったこともあるんです。

2人は、近藤喜文監督の仕事や考えに影響を受けて作品を作ったと語っていました。

この2作品は2016年に公開されていて、近藤喜文監督の逝去からかなり年数が経っています。

長い年月をもろともせずに今でも誰かの影響になっているって本当にすごいことですよね。

近藤喜文監督の携わっていた作品を観て、素晴らしいアニメーションで心が潤い、これからの人生が華やかになりそうな、そんな感覚を私も知っています。

近藤喜文監督の想いは今もたくさんの人の中で生き続けていることでしょう。

 

『耳をすませば』の監督 まとめ

・近藤喜文監督は、宮崎駿監督や高畑勲監督から絶大な信頼を置かれている天才的なアニメーター

・『となりのトトロ』と『火垂るの墓』は同時劇場公開作品で、その2作品どちらに近藤喜文監督を入れるかで宮崎駿監督と高畑勲監督が近藤喜文監督を取り合っていた

・近藤喜文監督の才能に惚れ込んでいる宮崎駿監督は、なにかを作らせたいとずっと思っていた。
そのチャンスが巡ってきたのが『耳をすませば』だった。

・近藤喜文監督のスゴさは、人の気持ちを丁寧に汲み取ったアニメーションを作れること。

・近藤喜文監督は、アニメーションはたくさんの人の心を動かせられるということを伝えたかった

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