映画『魔女の宅急便』で、キキが両親のもとから旅立つとき、ラジオから流れるあの曲。
松任谷由実さんの「ルージュの伝言」
私がこの曲を初めて聴いたたときには、あまりの衝撃でしばらく頭の中から離れず、ずーっと歌っていた時期がありました(笑)。
そしてこの曲が、映画『魔女の宅急便』を観ていて流れてきたとき、とてもとても嬉しかったことを覚えています。
ユーミンを知る由もない我が家の子どもも、繰り返しDVDを観るうちに口ずさむようになっています(笑)。
では、いったい松任谷由実さん(ユーミン)の曲が映画に使われることとなったのはどうしてなのでしょうか?
この経緯について、ユーミンと鈴木敏夫プロデューサーが、映画公開から23年後の2012年2月『魔女の宅急便』ブルーレイ発売記念記者会見に出席されたときのインタビューを交えながらお伝えします。
魔女の宅急便|主題歌を書き下ろす!はずだった?ユーミン
ラジオから流れてくる『ルージュの伝言』は、キキ"ひとり立ち"の門出にふさわしい曲だ!と勝手に思っている私ですが、スタジオジブリとしては映画『魔女の宅急便』のために曲を書き下ろしてほしい!とユーミンにお願いしていたという裏話がありました。
2012年2月の記者会見で鈴木敏夫プロデューサーは「当時、映画公開の一年前から曲作りを依頼していた」と語っています。
ところがユーミン!なかなか出来上がらない状況が続いていたようです。
そして、映画の音楽を担当していた高畑勲監督と鈴木敏夫プロデューサーがユーミンの曲をすべて聞いていく中で「おやっ?」と思う曲があったとのこと。
それが「ルージュの伝言」と「やさしさに包まれたなら」でした。
まさに、ピッタリな選曲です。グッジョブ高畑勲監督&鈴木敏夫プロデューサー!
ユーミンもこの話を受け安堵したようです。
しかし、劇中で『ルージュの伝言』は最初だけしか流れませんよね。
先輩魔女にピシャリ!と言われてしまいます(泣)。
このストーリー展開について、記者会見でユーミンは"良かった"と語っています。
ご本人は謙遜して「(ずっと曲が流れているのは)おこがましい」とも。
セリフにもありますが、先輩魔女がキキに伝えているので、そのシーンでは『ルージュの伝言』がエッセンスになっていますよね。
魔女の宅急便の主題歌が「ルージュの伝言」に決まったのはなぜ?
それは、たまたま会議の前日に鈴木プロデューサーが行った、ユーミンのコンサートが影響しているようです。
そして翌日、鈴木プロデューサーが会議で「ユーミンどうですか?」と宮崎駿監督に話をしたところ、オッケーになったとのこと。
びっくりなのは、これまでも宮崎駿監督はスタジオで仕事中に、カセットテープでユーミンを聴いていたらしく、これまたすごいエピソードだなぁと感心しました。
これが偶然なのか?必然なのか?なんともドラマチックな出会いですね。
魔女の宅急便の主題歌を歌うユーミンがジブリ作品について語る
記者会見に臨む前日、ユーミンは久しぶりに映画『魔女の宅急便』を観たそうで、公開当時の20年前観たときとは印象が違って見えたそうです。そしてジブリ作品について感想を語っています。
その中で私がとても印象に残った言葉はコレです。
人が幸せになって(喜んでいる)様子を見てすごく幸せになる。
それを続けてきたのがスタジオジブリである。
ユーミンは作詞・作曲をしますが、鈴木敏夫プロデューサーも編集者として言葉を職業としてきた方です。この二人がジブリ・ユーミンの共通する点として、この言葉を挙げていました。
そして、こんな言葉も
人が喜ぶことに身を呈する、自己犠牲
なんだか、私、ストンと腑に落ちました。
そのほかユーミンは、アニメを作るひたむきな姿勢が作品から伝わるとも語っていて、スタジオジブリで作る人たちが、そのような一貫した心で作っているということを感じ、あらためて感心していました。
ユーミン自身も、同じような志で活動してきた、とも語っています。
ジブリ作品の懐の深さは、このような作り手の方々ひとりひとりの気持ちから出来上がっているのね、
とファンとしては、ますますジブリが好きになりました。
この二人の熱いトーク!続きはこちらをお聴きください!
魔女の宅急便の主題歌を歌う松任谷由実(ユーミン)ってどんな人?
そもそも、ユーミンのことを『魔女の宅急便』で知った方もいるのではないでしょうか?
松任谷由実(まつとうや ゆみ)さんは1972年にデビューし、当時は旧姓の"荒井由実"(あらい ゆみ)で活動をされていました。
「やさしさに包まれたなら」はユーミン3枚目のシングル。(作詞作曲:荒井由実)
1974年にリリースされた「MISSLIM」(ミスリム)に収められています。
「ルージュの伝言」はユーミン5枚目のシングル。(作詞作曲:荒井由実)
1975年にリリースされた、ユーミン3枚目のオリジナルアルバムにも収められています。
もうこのアルバムは日本の音楽史に残るアルバムだと、私は勝手に思っています(笑)。
そして、この翌年に音楽プロデューサーの松任谷正隆(まつとうや まさたか)さんと結婚され、現在は、松任谷由実として活動しています。
私のイメージだと、当時のシンガーソングライターって、あまりメディアに出ることはなく"コンサートでしか観ることができない人"との印象があったんですよね。
今現在も、メディアに出ないアーティストさんが多いですが、当時ユーミンのコンサートなんていったら、もう「すごい!すごい!」という情報だけで、行くことができなかった私としては、どんだけすごい人なんだろう?と妄想していたものです。
なぜ妄想するか?というと、詞がいいんですユーミンって。(もちろん曲もいいですよ!)
自分がその曲の主人公になる、という表現が的を得ているか?は怪しいですが、とにかく詞を聴くとイメージが浮かぶ歌ばかりです。特に恋愛についてはユーミンの曲でいろいろと妄想を巡らせたことを思い出します(笑)。
最近では、紅白歌合戦にも出演するなど、メディアに出る機会も多いですが、ユーミンの歴史を辿ってみると、とにかく"神"ですよ!どの曲もすごい!
今は、配信というかたちで音楽を楽しめる世の中になりました。
ユーミンの当時をご存知ない方は、ぜひ『魔女の宅急便』をきっかけに、ユーミンに酔いしれて欲しいですね。
魔女の宅急便の主題歌がルージュの伝言に決まるまで/まとめ
・高畑勲監督と鈴木敏夫プロデューサーでユーミンの曲を聴きまくって決まった!
・宮崎駿監督は作画作業中、ユーミンを聴いていた。
・ユーミンは、日本音楽史におけるレジェンド。
・「ルージュの伝言」「やさしさに包まれたなら」は1970年代の作品
我が家の子どもが、この映画をきっかけに、ユーミンの曲を聴くようになりましたが、詩の内容を理解できるような年齢になったら、たくさんユーミンの曲を聴いて、さまざまなことを感じ、心豊かになってほしいですね。
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