魔女の宅急便|最初に会う先輩魔女は意地悪?声優や猫の名前を原作と比較して考察

魔女の宅急便
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1989年公開の映画「魔女の宅急便」で、主人公のキキがひとり立ちする日最初に会う紫の魔女、先輩魔女って気になりませんか?ほんのチョットの出演なのに、なんだか気になる存在。

これから頑張ろうとするキキに、先輩としてツンとした態度をとって意地悪な魔女のようにも見えますが、エールも送っている可愛らしい魔女ですよね。

そして、キキにとって大切なひとり立ちの日に出会うというのは何か意味があるのではないでしょうか?

今回は「魔女の宅急便」で最初に会う魔女、先輩魔女について原作との比較も交えながらお伝えします。



魔女の宅急便|最初に会う先輩魔女の名前が知りたい!

この先輩魔女の名前は、残念ながら映画のストーリーには出てこないのです。

では、原作ではどのように描かれているのでしょうか?リサーチしてみました。

 

映画では夜空を飛び始めてまもなく、先輩魔女と出会いますが、原作では、南に向かって飛んでいき、東の空が白くなり始める"明け方"に出会う設定になっています。

映画での出会いのシーンは夜でしたが、原作では陽が登り始める頃なんですね。

「ねぇ、キキ、あの町どう?」

しばらくすると、ジジがとつぜん首をのばしていいました。ま下に見えるその町は、ぐるりと低いきれいな緑の山にかこまれて、お皿のような形をしています。赤や青の屋根がかたまって、スープに入ったにんじんやグリーンピースのように見えます。

「きれいね」

キキがいいました。

「こういう町がいいんだよ、きっと。住むにはさ」

ジジがこころえ顔でいいます。

「だけど・・・・・・ちょっとちっちゃすぎる・・・・・・あれ? あそこ」

キキが急に大きな声をあげて指さしました。それははるか下のぽちんとした黒い点で、だんだん近づいてくるのをよく見ると、ひとりの魔女が、肩に黒猫を乗せてほうきで飛んでいるのでした。でも、がくがくと、あばれ馬にでも乗っているように見えます。

「ちょっと行ってみようか」

キキはぐっとからだを下にむけました。

「あら」

その人は、キキを見ると、あいかわらずがくがくと飛びながら目をまるくしました。キキよりちょっとおねえさんみたいでした。

「まぁ、なつかしいこと、おなかまに会えるなんて。どこからきたの?あれ、もしかしたら、あなた、きょうはたいせつなあの日なんじゃないの?」

その魔女は、すばやくキキの全身に目を走らせるといいました。

「そうなの、きのう夜発ってきたばかり。わかった?」

キキは、ほうきを彼女の横につけて飛びながらいいました。

「そりゃ、わかるわよ。おしゃれしてるしさ。顔がこわばっているしさ。あたしもだったもの」

「そう、やっぱり、こわばってる?あたし、平気なつもりだったけど・・・」

キキは、ふふふっと笑いました。

「あなたはいつだったの」

「もうすぐ一年目」

「この町はどう?」

「やっと慣れたとこ」

「やっぱりたいへんだった?」

キキはすこし心配になって目をよせました。

「あたしはね、まあまあだいじょうぶだったわよ」

おねえさん魔女は得意そうにちょっと首をすくめました。まるい顔の両側にぷっくりとえくぼができて、やさしい顔になりました。

引用:「魔女の宅急便」2 キキ、ひとり立ちの時をむかえる



原作で、キキが先輩魔女に出会うシーンから「おねえさん魔女」との記述が、初めて出てくるまでのシーンです。

結局これ以降も名前が出てくることはなく、原作では「おねえさん魔女」となっています。

映画では、ずいぶんツンとした意地悪な雰囲気のある先輩魔女というイメージがありましたが、原作では、笑顔の印象的な"おねえさん"魔女として描かれています。

"おねえさん"と"先輩"、同じ女の子を表現するにも、なんだか雰囲気が違う感じがしますね。

原作の先輩魔女は飛ぶのが苦手!?

映画では、スマートに飛び、ほうきの扱いも慣れたもので"先輩"的な感じに描かれていますが、原作ではどうでしょう、"がくがくと飛びながら"という表現から、飛ぶことが苦手なようです。

私、これはとても意外でした。

キキは魔女として飛ぶこと"しか"覚えなかったとお母さんが語っていますが、"先輩魔女"は魔女と認識されるために飛ぶ(後述しています)、と語っていることがとても印象的です。



キキと出会うシーン 原作との時間のズレ

ではなぜ、宮崎駿監督は朝方ではなく夜に先輩魔女と出会うシーンにしたのか?と考えてみました。

それは、先輩魔女の仕事である"占い"にポイントがあるのではないかと。

"占い"って、どうしても私は"夜"をイメージしてしまいます。

そして実際に、映画で先輩魔女は、キキと「じゃあね」と別れてから夜のネオンがきれいな街に降りて行きます。

宮崎駿監督がストーリーにしたかったのは、このネオン街で先輩魔女が修業をしているということではない、要するに"生きていくために働くということは、容易ではない"とのメッセージを伝えたいのではないかと考えました。

 

では、原作「おねえさん魔女」の仕事はどのように描かれているか?というと、

映画と同じく、占いでした。

しかし、どうも映画の占いとはイメージが違っているようです。

「いいわねぇ。それにもうじき、里帰りでしょ」

「そう、そうなの。胸はって帰れるから、それだけでまんぞくよ。でもねえ、こう見えても、たいへんなときもあるのよ」

「そうでしょうねえ。ほうきもこわれちゃってるみたいだし」

「あっははは、これはちがうのよ。あたし飛ぶのがへたなのよ。でもたまには飛ばないと、魔女だかなんだかわからなくなっちゃうでしょ、それもこまるのよ。せっかくひとり立ちしたんですものね。きょうはね、むこうの山の牧場のめ牛のごきげんがわるいから、ちょっとみてくれっていうもんで、朝早くからこうして出かけてきたの。占いとはいえないけどね・・・・・・」

引用:「魔女の宅急便」2 キキ、ひとり立ちの時をむかえる

なぜ、明け方に飛んでいるのか?という自分の"仕事"の理由を説明している、おねえさん魔女。

映画の"先輩魔女"とは違い、いっぱいいっぱいな感じで生活しているように見受けられますね。



魔女の宅急便|紫の先輩魔女 セリフを考察

先輩魔女とキキとのやりとりはとても少ないのですが、ひとつひとつの会話に、さまざまなメッセージが込められていて、どれも印象深いものばかりです。

よくweb上では、キキに対して"自分の特技をみつけて仕事を探す"というヒントをくれた人、といわれていることが多いようで、少ない会話でも、ひとつひとつがとても意味深いものばかり。

その中から、いくつかをご紹介します。

「その音楽止めてくださらない?」

キキが夜空を飛び、ラジオから流れる「ルージュの伝言」の音に対して発した言葉です。

まずはココで、ガツン!とやられた感がありますよね。(先輩よ!テキな)

先輩魔女は"静かに飛ぶのが好きなの"と語っていますが、この原作の"おねえさん魔女"のイメージからすると飛ぶことが苦手だから集中したいため音楽を止めてほしいとの意図があったのかもしれませんね。

映画のオープニングに流れる「ルージュの伝言」は、ひとり立ちの日を迎えたのキキの気持ちを表現してくれているかのような、まさしく!この曲以外にはない!とも言えるような曲です。

それを先輩魔女は「止めて」という、この流れ。

宮崎駿監督は"ウキウキ気分ばかりでは、ひとり立ちは難しいぞ"と先輩魔女のセリフを通して教えてくれているかのようです。

我が家も子どもに大切なことを伝えるときには、テレビを消し、音のない環境で話をしますし(笑)。



でも、せっかくいい感じで聴いていたのに、、と思いませんか?

私もその1人です。

では、松任谷由実さんご本人は、この曲が途中で止められてしまうことについて、どのように感じているのでしょう?

意外な感想を語っていますよ!こちらもどうぞ!

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「そりゃあね、いろいろあったわ」

かなり簡単に答えているようですが、キキにとっては、一番聞きたいところだったと思います。

原作でもキキは、おねえさん魔女に「やっぱりたいへんだった?」と心配そうに聞いています。

先輩魔女はこのセリフで、自分のこれまでの修業の大変さを伝えていますが、逆にこの"含みを持たせる"ような答え方で、キキにエールを送っているようにも聞こえる、深〜い言葉です。

「あなた、何か特技があって?」

先輩魔女といえば、やはりこのセリフですね。

キキは先輩魔女からこのように聞かれ、自分の特技というものを、あらためて考えはじめます。

そして後に"飛ぶことしかできないから"という、自分の特技を見つけ仕事につなげています。

これは、ひとり立ちの日、先輩魔女と会話をしなければ気づかなかったことでしょう。

ひとり立ちするキキに対する、先輩魔女のポイントを抑えた素晴らしいコーチングぶりに、思わず感心してしまいました。



魔女の宅急便|先輩魔女の猫の名前は?

先輩魔女が連れている猫の名前は"ププ"です。

「それで、何をして暮らしていらっしゃるの」

「占いやさんよ。この猫のププとね。あたし、ひとの気持ちがなんとなくわかるもんだから。よく当たるって評判なのよ。おせじかもしれないけどねぇ・・・・・・また町の人ってやさしいから」

引用:「魔女の宅急便」2 キキ、ひとり立ちの時をむかえる

この猫(ププ)、映画でもツンとした雰囲気をして、ジジも「いやなやつ」といっていますが、原作でもツンとしているようで、自分に挨拶をしないことを「先輩ぶっている!」とジジが怒っています。

しかし、キキはそんなジジに諭します。

「おや、まぁ、ジジったら、話ししたかったんじゃないの。そういうときは、あんたからあいさつするもんよ」

引用:「魔女の宅急便」2 キキ、ひとり立ちの時をむかえる

宮崎駿監督は、このププの雰囲気から、先輩魔女のイメージを膨らませていったのでしょうか?

原作を読みながら映画のことを考えると、色々な妄想をしてしまいますね(笑)



魔女の宅急便|先輩魔女のキャスト声優はだれ?

先輩魔女のキャスト声優は、小林優子(こばやし ゆうこ)さんです。

女優やアニメ声優で活躍されていますが、映画の吹き替えでもたくさん活躍されています。

私が好きな、小林優子さんが演じるキャラクターは、NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」のポコポッテイトに出てくる、アオアシカツオドリの郵便屋さんの奥さん役です。

我が家の子どもがとても喜んで観ていた番組だったので、とても印象に残っています。



魔女の宅急便|最初に会う先輩魔女 まとめ

・先輩魔女の名前は、映画・原作とも出てこない(設定なし)。
・原作では「おねえさん魔女」となっている。
原作のおねえさん魔女は、飛ぶことが苦手。
・先輩魔女の猫の名前は、映画では出てこない。原作では「ププ」
・先輩魔女のキャスト声優は、小林優子(こばやし ゆうこ)さん
『魔女の宅急便』は、観る年代でさまざまな捉え方ができる作品であると感じています。
今回は、先輩魔女を通して、原作「魔女の宅急便」との比較をしてみましたが、結果とてもおもしろかったです。
我が家の子どもは、かなり幼い時から映画『魔女の宅急便』を観ていますが、ジブリループが何度も訪れる作品でもあります。
いま棚にある原作本を、子どもが自ら手にとり読むようになったら、映画とは違った印象を持ったり、アニメで表現した宮崎駿監督の気持ちを考えてみたりするんだろうなぁ、と思うとまたジブリ作品を楽しむきっかけが増えたような思いになります。
アニメと原作本について、子どもと意見を交換し合う時間を持ってみませんか?
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